「僕の名前はクル。よろしくね」

にっこりと笑って、花の蜜飴を食べながら、目の前の妖精の男の子は自己紹介をした。

「あ、私はそらだよ。よろしくね」

そらが言うと、そら!よろしくね!と言って、クルは蜜飴でべたべたになった手で、そらの頬を撫でた。

「で?クル。あんたは何でここにいるの?」

ヒュープリッツァが聞くと、彼はわかんない、と答えた。

「な、わかんないって…昨日のあの騒ぎも、あんたが原因じゃないの!?」

「落ち着いてください、ヒュープリッツァ様」

ウォルフが仲介に入る。
どうどう、となだめられるヒュープリッツァは、早く説明しなさいよ、とクルに言った。

「だからー、わかんないんだってば。昨日はさ、ちょっと里を抜け出して夜の散歩を楽しんでただけなんだよね。そしたら急にどっかから攻撃を受けちゃって。で、逃げ回ってたところに、たまたまそらがいたんだよ」

クルは小さくぶるっと身を震わせた。

「…なんかね、変な仮面がいたよ」

その言葉に、そらは私も見たよ、と続けた。