午前0時を回ったくらいだろうか一つの廃墟に二つの人影が現れた

「黒!今日もお疲れ様!今日もいっぱい殺したね」

「白・・・お前綺麗な肌が今日も汚れて・・・どうしてそんな平気にしていられるんだ・・・」

「大丈夫だよ!だって黒がいるもん!」

白の肌はまるで雪の如く真っ白だった、そこにヴァルトの返り血が付いてまるで人殺しの天使だった・・・

黒はそんな汚れた姿の白を見たくなかったのだ

だけど・・・黒は知っていた・・・白が戦う理由を・・・

白と黒は一度も青い空を見たことがない・・・ある日黒が『一度でいい・・・青い空が見たい』と言った言葉を叶えようとしているのだ

「そういう黒も綺麗な顔なのに血が付いて・・・なんで平気な顔していられるの?」

「それは・・・白を守れるなら・・・俺はいくらでも汚れられる」

そして白も黒が戦っている理由を知っていた・・・

白がある日『花が咲き誇るのを一度でいいから見たい』と言った言葉を叶えようとしている・・・唯それだけなのだ

「白・・・黒・・・今日もお疲れ・・・」

すると部屋の中から大人びているが子供の様な声が聞こえた・・・

「グレイ?いつからいたの?」

「最初からいたんだけど・・・」

「グレイ・・・お前何で人間の姿になってんだよ・・・いつもみたいにちっちぇえリスの姿でいいのによ・・・」

グレイと呼ばれた男は一つに束ねた髪を揺らしながら「はぁ・・・」と息を吐き

「いやだなぁ・・・僕だって人間の姿になりたい時だってあるさ・・・そんな事より今日もいっぱい狩ってきたねおかげで死体を処理するの大変だったんだけど・・・」

「そんな事知ったこっちゃねぇよ・・・だいたいお前が!」

次の言葉を言おうとした時黒の唇に何かがあたった・・・白の華奢な指だった

「駄目だよ黒?グレイだって私達の為に働いてくれてるんだから・・・」

「ちっ・・・グレイ次は覚えとけよ・・・」

「次はあるのかな?次僕に会う時までに君達は生きてるのかな?」

「私達は生き続けるよ・・・この世界が平和になるまで私達は生き続けるよ・・・きっとね!」

そう言って白は黒の手をギュッと握った・・・

「と・・・いう事だ・・・悪いが俺達は生きるぜ・・・お前が何と言おうとな!」

黒は綺麗な八重歯をきらりと見せた

「そうかいそうかい・・・それじゃあこれからも頑張ってよ平和な世界になるまで・・・それじゃあね」

そう言うとグレイはキラキラと砂になって消えた・・・