あの日から、翔は毎日仕事の後あたしの家に来た。





一緒に寝て、一緒にお風呂に入って、一緒にご飯を食べて、一緒に歌舞伎町へ向かった。


いつの間にか同棲生活が始まっていた。




付き合ってるわけでもないのに、
理由もなく毎日一緒にいる変な関係だった。


お互いそれ以上もそれ以下も求めることはなかった。







翔と一緒に暮らし始めて一カ月が経とうとしていた。



季節は春になろうとしていたそんなある日、

仕事の後、店長に呼び出された。




そして、言われた。


「翔と別れろ」



は?


あたしは店長を睨んだ。



「今月、お前の売り上げ不調なの自分でも分かってるよな?」



それにはとっくに気づいてた。

「それと翔何が関係あんの?」

「翔にハマった女はもう元には戻れない。
今なら引き返せる。
もうあいつはやめろ」

店長は真剣な眼差しであたしを見つめた。


「やめろって付き合ってないし…」

「一緒に住んでるんじゃないのか」

「なんで知ってるの?」

「マナミから聞いたよ。
あいつもお前を心配して俺に相談してきたんだよ。」


…マナミ。
余計なこと言って。


「このままでいいのか?
今月マイに抜かれてるぞ」



思い当たる節はありまくる。

仕事の後、翔と待ち合わせしてるからアフターをやめたこと。
ネットであたしと翔の噂が回ってること。


それで客が減ったのも事実だった。


店長に言われる前からあたしは焦っていた。



だけど、焦っても空回り。
売り上げに繋がらない。



「あたし、どうすればいい?」

「翔とは切れ。
あいつは女をだめにする。
お前、自分で気づいてないだけ「あたしは他の女とは違う!」

店長の声を遮った。


だって、あたしは他の女みたいに
あいつを好きになったりしない。


あたしが大切なのはあいつより仕事。

No. 1が欲しい。



「それとな、翔と切ってほしい理由はもう一つある。」