涙〜あなただけが〜




「香澄...俺、わかんない」




「..................。」





何も答えられなかった


この話を聞いていいのかえ分からなかった





「俺さ...雅に相談受けてた」


“相談”


男好きで有名な雅の定番のオトシ方




「...雅が、泣いててさ。

助けて欲しいって...」




そんなの嘘だよ



「あいつ、もう死にたいっていっててさ」




「..................。」





「好きな奴に彼女がいてヤリ逃げされたって」







...は?





雅、この前言ってたよ



『好きな人だったら何がなんでも奪う』




そこでやっと気づいた

雅の好きな人って...





「...晴人、だったんだ」



私も晴人も騙されていたんだね

手のひらの上で転がされていた



「...だからほうっておけなかったんだ」




「...そっか」




お人好しなのも知ってるよ

ほうっておけないのも知ってる




でもね、私も苦しんだんだよ


偽りの傷を並べる雅とは違って
私は、もうボロボロなんだよ?



晴人はそれに気がつかなかったね




「ごめん...香澄、ごめんな」




今にも消え入りそうな声

ちがう



私が聞きたかったのはこんな苦しいものじゃない




「晴人、笑って?」


たまらずそういった私に晴人は
びっくりした顔を向けた



自分は笑えてないくせに
人に要求するなんてね



「私ね、戻りたかった。でも、無理だよ」





きっとあなたは優しいから

私がこんなに傷ついたことを知ったら

また悲しい顔をするでしょう



そんなの嫌だよ


好きな人には


大切な人には



ずっと笑っててほしいから











「私ならもう平気だから」



そのためなら嘘だってつけるよ