涙〜あなただけが〜




「香澄、お母さんガソリン入れてこなきゃ」



「お父ちゃんもいってくるな」



ガソリンスタンドはいつも行列

その日もたくさん車があったらしい




「え、ヤダやだやだ!!一人にしないで...」


「一人じゃないよ、陽菜がいるから」



...お姉ちゃんだけじゃ




「ガソリンなきゃ逃げられないでしょ?」


それは困る

私はまだ、死にたくないんだ



「わかった...」



朝の七時 両親は出かけていった



「香澄...怖い?」




学校のみんなに会っていない

大丈夫かどうかも分からない


テレビのニュースも全て地震



怖くないはずがない


でも...



「大丈夫」



きっとみんな不安だから。





私だけじゃないんだ