涙〜あなただけが〜





「彩...!」


入口が下駄箱の棚でふさがっていた




「香澄......?」



「彩...!」




「香澄ぃっ......!」




彩は棚と棚が落ちてくる間に
一人うずくまって泣いていた



「よかった...ほんとに良かった...!」




命が大事ってことを私は忘れていた


この地震がなければきっと今でも私は......







___ゴゴゴ...ゴゴゴ...



「また来るよ...、一緒にいよう」



手を引いて彩を外に連れ出した






あったかい


こんなにも暖かい人を突き放していたんだね



ねえ、彩...

彩に出会えて私は幸せ者だよ