【完】山崎さんちのすすむくん


ぽつんと残された俺は改めて目の前に並ぶ品を眺める。


……先に土産でも買うとこ。


んーどっちにしよかなぁ? 俺としては岩の方が固くて生姜もきいてて好きやねんけど、やっぱり若い女子なら粟のほがええよなぁ? そこまで固ないし。


琴尾も粟のが好きやったしな。


絶対粟! とか言う癖にいっつも俺のん一口欲しがって。


だって烝ちゃんが食べてると美味しそうに見えるんやもん、なんて笑うからいつも最後は交換する羽目になっとったっけなぁ。


……。


「すんまへーん、」










「それは誰かにお土産ですか?」


味見から帰ってきた沖田くんと二人、店の前に置いてある床几に腰掛けおこしを食べる。


パキッと爽やかにかじられたおこしから落ちた細やかな粉ですらキラキラと輝いて見えるのはお天道様の悪戯か。


「ええ」


付き合いでぽりぽりと一枚のおこしをかじり、膝の横にある思いの外大きくなった風呂敷包みを一瞥する。


「もしかして女の人、とか?」


女っちゃ女やけど。まぁそれだけやのうて同郷の従兄弟やら留守居の同僚やら他にもやし。


「まぁ、色々です」

「お、否定はしないんですね。山崎さんって本当謎多き人だなぁ」


……せやからその笑みは止めてくれ、むず痒ぅなるわ。


謎っちゅうかほんまやし。言うんも面倒やし、それに餓鬼んちょと従兄弟と割れ顎男やらに渡すねんーて聞いてもしゃあないやろ?


「ふふ、そんな貴方はやっぱり意外で面白いです」


そんなてどんな!?


「さて、小腹も満たされましたしそろそろ戻りましょうか」


教えてはくれんのかい……まぁ期待はしてへんかったけども。


湯飲みを置き、すっくと立ち上がる沖田くんに密かに溜め息をついて俺も腰をあげた。


「あの沖田助勤、私は所用があるのでここで」

「えっ!? 私一人で帰れない自信があるんですけどっ」


どんな自信やねんそれ。


……ま、こん包みそんまま持ってくんもあれか。


「送ります」

「えへへ、すみません、有難うございます」


……やっぱ可愛いんは俺やない、あんさんや。