「大坂はいつ来ても京とはまた違った趣があって面白いですよね」
共に寺を出て暫く歩くと、沖田くんは楽しそうな様子で顔を動かす。
少し城下から外れた此処は町民が暮らす下町。
しかしながら此処は大坂、諸国の台所。
今日は初売り初荷。
通りは晴れ着に身を包んだ人々で中々に賑わっていた。
ごちゃごちゃとした様子は確かに京とは違って、俺にとっては懐かしい。
やっぱりええなぁこの雰囲気。
なんかこう肌に馴染むわぁ。
華やかな賑わいもええけどやっぱ活気があるほが俺は好きやな。
「あ、あの茶屋は結構賑わってますね。折角です、少し寄って行きましょう山崎さん!」
……はい?
「あの、沖田助勤? 今から買いに行くのはお八つでは?」
「干菓子をいただく前に生菓子を食すのもまたありでしょう?」
ありちゃうありちゃう全然ありちゃう! 俺そんなに食えんけど!?
店へと突き進む沖田くんを慌てて追いかければ、その人は突然くるりと振り返る。
「ふふ、山崎さんでも焦ったりするんですねぇ。なんか安心しました」
……なんか十ほども離れた奴に達観した笑みでんな風に言われると妙に恥ずかしいんやけど。
「へぇ、そんな顔もなさるんですね。山崎さんって結構素直って言われません?」
「わかりました! 付き合いますから早く行きましょう! こんな往来で立ち止まっていては邪魔になってしまいます」
「ふふ、はい」
悪い人やないんやけど……土方副長がたまに本気で苦手そうにしてはるんなんかわかった気ぃするわ。


