【完】山崎さんちのすすむくん


……まぁ、元々こっちが素ぅなんやけど。


流石に屯所ではこんな会話ばかりは出来ない。


でも口を開けばついこうなったりする。


それ故話すのを最低限にして済ますことにしていたら、いつの間にやら無口な奴という位置付けになっていた。


まぁ人と話したい気分ちゃうかったちゅうんもあるけども……ま、そこら辺は取り敢えず置いといて、や。


否定したにも関わらず、女は俺を凝視し続けている。


「山口さんちのつとむちゃんじゃないんですか?」

「山崎さんちのすすむちゃんや」


……ほぉ、確かに語呂はよう似とるな。


そうか……なら川でのあれはそいつの事か。そら……そうやな、……あーなんか阿呆らし俺。


例え塵程でもまさかと思ってしまった己が嫌になる。


俺をああ呼ぶんはあいつだけやのにな……。


あまりの滑稽さに思わず苦笑し、わしわしと頭を掻いた。


じわりと胸の奥が疼くのを感じていれば、


「良かったー! つとむちゃん見ない間に老けたなーって思っちゃいましたっ」

「……、老けっ!?」


女は無邪気な笑みでさらりと毒づいた。


お陰で感傷の余韻すら霧散だ。


そ、そら三十やけども。


土方副長より二つも年上やけれどもっ!


老け……。


……自分では若う見られる方や思っとったんやけどな……。


ずうぅぅん……、と暗雲を頭上に頂き項垂れていれば、女は慌てた様子で口を開いた。