行灯の明かりが揺れる屯所の一室。
向かいに座る脇息に凭れた美丈夫は、ゆったりと紫煙を燻らせ俺達をちらと眺めた。
「……不気味だな」
「申し訳ありません」
確かに同じような顔が二つ目の前に並べばそう思われても仕方ない。
「や、別に謝る必要はねぇ。覆面もいらん」
……隠してみたんやけど。
この俺ごときが土方副長を不快にさせる訳にはいかんからな。
しかしまぁそう仰って頂けるんやったら。
「失礼致します」
頭の後ろで結んだ覆面を外し懐へと仕舞う。
何故か溜め息混じりに煙を吐くと土方副長は灰を落とした。
「で、そっちのそっくりさんは正式入隊ってことでいいのか?」
やはり長屋に寄越した目的の一つはその確認……流石副長、思慮深くいらっしゃる。
「そっぶ」
「はい、宜しくお願い致します」
事もあろうに口答えしかけた林五郎の後頭部をがしりと掴み、共に頭を下げる。
鼻からいったっぽいのは自業自得だ。
「いいだろう。……おいそこの山崎似」
「似っ!? 山崎林五郎ですっ!」
「チッ、ややこしいな。じゃありんご、お前は明日うちの局長に紹介する。部屋割りはその後だ、今日のところはそいつの部屋で寝ろ。いいな山崎」
「り」
「承知致しました。では」
林五郎が副長に何かを言う前にその衿を掴み立たせる。
「山崎」
障子に手をかけた時、ふとまた声がかけられた。
「承知致しております」
僅かに頭を下げ答える。
「……ふん。あとりんご」
「林五郎です」
厚かましくも言い直す林五郎に副長は妖しく口角をあげた。
「女は、美人だったか?」
「……は?」
これを寄越したもっこの目的はやっぱそれですか。


