何度か声をかけても起きない女に、かくなる上はと頬を軽く叩いてみる。
「なぁ、おい?」
「……ん……あと少しぃ……」
すると女は僅かに身を捩り、口を開いた。
……あと少して。自分どんなけ寝るつもりやねん。……まぁ一応言葉は通じるんか。
少々突っ込みつつも、それが異国の言葉でなかったことにほっとした。
けど、手間のかかる奴ってことは確かやな。
溜め息ついでに俺は大きく息を吸い込んだ。
「あかん!! 寝坊や寝坊!!」
「っ! やだ、今何時っ!?」
がばりと飛び起きたその女。
その動きはついさっき死にかけた人間とは思えない程に軽快だ。
「……はへ?」
上手く状況を把握出来ない様子でポカンと口を開けた女へ声をかける。
「おはようさん、ちゅうてももう日が暮れるけどな」
「あ、おはようございます……あ、でもじゃあこんばんは、でしょうか?」
「んーどっちやろなぁ? まぁこの場合はおはようでええんちゃうか……て! 阿呆か! そんなんどーでもええねん!」
ついつられてしもたやないか!
くっ、なんたる不覚! 新選組では温順無口で通ってるこの俺としたことが……。
額を押さえ悔恨していれば、真っ直ぐに向けられた視線に気付く。
顔を上げれば女が真顔で俺を凝視していた。
「………つとむ、ちゃん?」
「惜しい! すすむちゃんや」
………またのってもた!


