ちらちらと降り続く雪は屋根や道端をすっかり白く覆っている。
一本しかない傘を二人で差し、四条通りから河原町通りに入り北へ上がっていく。
時折吹く風に身を竦めつつ歩く道は、覚えやすいようにと選んだ大通り。
しかしながらこの天候のお陰でいつもは賑やかな通りも今日は人通りも控えめだ。
それでも夕美は楽しそうにきょろきょろと首を振っていて、傘という見えない檻がなければ簡単に迷子になるのではないかと思える。
「ねぇ烝さん、どこに向かってるんですか?」
寒さに鼻の頭を赤くした夕美の笑顔がこっちを向く。
……摘まんでやりたいわー。
そんな衝動を抑え、ついと前に視線を戻した。
「お前さんを拾ったとこや。まだ教えてへんかったからな」
今日を逃せばいつ案内してやれるかわからん。
もしかしたらこれが元の場所に戻る手掛かりがあるかもしれん場所。
一度きちんとこいつ自身に確認させておくべきや。
しかし『訳あって新選組が保護した娘』としか知らん林五郎がいては動きにくい。
故に消えてもらった。
……しっかしまたこんな時に雪とは。寒いやないかい。
冷たく裾を濡らす風が恨めしい。
すんと鼻を啜っていればふと袖に掛かる微かな重み。
僅かに顔を向けても何故か夕美は俯き、その表情は窺い知れない。
「……どした?」
「……へ? あ……や、何でもないです! 寒いなって思って」


