「おいこら! 誰がオッサンや!」
最近そのネタ多過ぎやろ!
老けた? 老けたんか?
闇にぷっすぷす突き刺さるからな!
「お兄やお兄、俺よか七つも歳くうとるやんけっ。のう夕美、よう見てみ? 小皺の気になるお年頃や」
「阿呆か、俺を誰やと心得る、肌艶の良さは大して変わらんわい。のう夕美、正直に言うてみ? 変わらんよなぁ?」
これでも女に化けりゃそこらの町娘よかよっぽど美人やっちゅーねん!
……て! 何の自慢やねんこれ!
あかん……職業病や……男が年下の男と肌の美しさ競てどーすんねん。
美人てなんやねん俺!
普通に考えて可笑しいやろ。
「ちょっ、二人揃ってこっち向かないでくださいよウケる! やっぱ双子でいけます!」
「よっしゃ! ほれみぃ林五郎」
「えぇーっ! 納得できーん…」
……本気で喜びな、俺。
「ほい、お待っとさん」
両極端の表情で声を合わせた俺達に、計っていたかのような頃合いで腰掛けていた床几(ショウギ:長椅子の様なもの)に料理が並べられていく。
「んなことより、飯や飯!」
これ以上このノリはいかんと判断した俺はさらりと話を断ち切り音頭をとった。
「ほな頂きます!」
旨い飯に安い酒。
初めはブツクサ口を尖らせていた林五郎も気づけば楽しげに夕美と会話を交わしている。
……この様子やと晩までついてきよるなこいつ。
思いの外睦まじげな二人を眺め、俺は密かに目を細める。
この後の予定を考えると林五郎は邪魔にしかならないのだ。
……ふむ、消えてもらうか。
一つの考えを胸に、俺はにこやかに手を伸ばした。


