これを隊士になんぞ出来ん。
「っ、何でや!? 俺かて棒術くらい出来る! 隊士としても十分な筈や!」
「そーゆう問題とちゃうんや。俺の為や言うんやったらさっさ帰ってくれ。俺はんなこと望んでへん」
これは俺が一人でやると決めたこと。
こんな殺伐とした生活にこいつまで捲き込む訳にはいかん。
「確かに棒術は出来るかもしれん。せやけど他に何が出来る? なんも出来んやろが」
それにこいつはあくまで練習台、共に習た棒術以外は完全な素人、そこらの町人と変わらん。
俺とは、ちゃう。
「俺を思うなら帰ってくれ」
こいつは普通の生活を送れるんや。無理にこんな生活に足を突っ込まんでええ──
拳を握るそいつの横を通り抜け部屋へと向かう。
それなのに、
「帰らへんで」
背に届いた声に足が止まった。
「これだけは譲れへん、俺は帰らんからなっ」
いつになく鋭い眼差しの林五朗がきつく俺の肩を掴む。
「阿呆かっ」
「阿呆はお兄やっ!!」
被せるように発せられた声は……悲痛。
「俺かて……悔しいんやっ。お兄にだけ大変な思いさせてほなよろしゅうってな訳にはいかんねんっ」
苦し気に顔を歪め絞り出されるその声はどこか悲鳴のようで、肺腑を抉る。
掴まれた肩が、痛い。
「俺の……お姉やねんから……っ!」


