囲炉裏の横に寝かせてあるこいつには唯一濡れてない俺の羽織を着せてあるし、しっかりとかいまきでくるんである。
髪まで拭いてやったし、至れり尽くせりや。
俺って優しー。
うんうんと頷いて取り敢えず自分の行動を正当化してみる。
手拭いやかいまきなんかは近くの民家で借りた。
不本意ながらも、色々借りる為に新選組の名前まで出して。
流石に何もない空き家では火もつけられないからだ。
しかしながら俺達も京の人々に好かれてる訳でもないからあまり無理は言えず。
「……っくしっ!! ズズズッ、はぁー……」
お陰で俺は寒修行や。
まぁ借りれただけで良しとしよ。
……にしても。
おもむろに顔を上げ、梁に干した女の着物を見やる。
袂のない、上下に分かれたそれ。所々に釦(ボタン)が縫い付けられていて。
これはどう見ても異国のもんやんなぁ。
何でまたこんな奴が京に? てか言葉通じるんかいな?
やっぱ俺厄介なん拾ってしもたんちゃうやろか……。
漸く心が落ち着くと、出るのは白い溜め息ばかり。
ぶるりと体を震わせ、俺は囲炉裏の縁に膝を寄せた。
一刻半ほど経っただろうか。
外は既に日が傾き始め、鮮やかな橙色の光が僅かに開いた窓から差し込んでいる。
分けてもらった薪ももう微かに燻る程度になり。
ほぼ乾いた着物を着ると、俺は改めて女の側に腰を下ろした。
頬にも唇にも赤みが差し、もう問題ないように思う。
……これ以上待ってられん。
「おい、……なぁ、起きぃ」


