「どーですかっ?」
俺が味噌汁に口を付けるや否や、夕美はきらきらと顔を輝かせて聞いてくる。
「まぁ……旨いで、普通に」
本日の朝餉、味噌汁に沢庵、そして白米と玄米の合わせ飯、以上。
これで不味かったら逆にびっくりするわ。
まぁ、あんなけゆっくり切っとった甲斐あって味噌汁の大根もそれなりに揃っとる。
あとは夕餉がどうなるか、やな。
そんなことを考え、ずずっと温かなそれを啜った。
「良かったぁー! もー烝さん細かいからドキドキしちゃいましたっ」
「お前さんが普通のことを普通に出来たら何も言わんわい。他所様に出すんや、ある程度は出来とかんと恥ずかしい思いすんのはお前さんやで?」
「他所様って。何かお父さんとかお母さんの台詞ですよーそれ」
「姑の次は親かい。一体俺は何やねん」
「んー第二のお父さん?」
「せめて兄貴にしてくれ」
確かに俺も子供みたいや思たけど!
ちょっぴり娘を奉公に出すおとんの気分やけど!
流石に面と向かって言われると妙に老けた気ぃするさかい止めてくれ。
「ふふ、じゃー烝お兄ちゃん、今日はこのあとどーするんですか?」
烝お兄ちゃん……!
……どうしよ。何か今一瞬無性にこいつに撫で撫でしてやりたなった俺は実は変態の素質ありやったんか?
や、違う! 筈!
「今日は食べたらちと出掛けてくる。昼前には戻るさかいに、すまんがお前さんは此処で往来読みながら留守居しとってくれ」
「む……一人であれ読んどくんですかぁ……」
「お利口さんに待っとったら昼から少し町連れてってやるさかい」
「頑張ります」
現金なやっちゃな。
「よっしゃ、頑張り」
結局撫でているのは、こいつの素直な態度が俺の父性を擽るからに違いない。


