「水臭いなぁもー!!」
「だっ!?」
豪快に破顔させたそいつは突然俺の左の上腕に重たい平手打ちをかました。
その衝撃に思わずよろめく。
「ちょっ! 落ちたらどーすんねん! それでのうても俺はか弱いんや! 自分みたいな巨漢にしばかれたらポッキリ折れてまうやろっ」
「ははっ、すまんすまん! つい!」
前うちでやった相撲興行で力さんなんて呼ばれたん忘れてもろたら困んで……!
てかほんま力士になっても十分通用すんちゃうか。
未だ痛む腕を擦り、これっぽちも悪いなんて思っていないであろうそいつをじとりと睨んだ。
「……何の話や」
「あんな往来で堂々と見せつけといて今更隠すなよ! 見てるこっちが恥ずかしかったぞ?」
島田はぱっくりと割れた顎を擦り、その光景を思い出しているのかうんうんとにやつく。
隊士の誰かやとは思ったが、やっぱお前やったか……。
俺は盛大に溜め息をつくと、ふるりと首を振った。
「ちゃうちゃう、あれはそんなんちゃうねん。ちと訳ありでな、監視も兼ねて少しの間面倒みとるだけや」
すると島田は一転眉を寄せる。
「監視?」
「ああ、副長にも報告済みや」
淡々とその事実を伝えれば、島田は心底残念とばかりに鼻につかんが如く口を尖らせた。
「むぅ……つまらんっ」
「その顔止めい」
どこのケツ顎妖怪や。


