【完】山崎さんちのすすむくん



「そーですよっ。それに私まだそんな歳じゃないですもん、十もがっ!?」

「昔世話んなった人の娘はんをちと訳あって二、三日預かっとるだけやねんっ。手ぇなんか出してみぃな、俺ぷちっと殺されてまうよって」

「なんやぁ。せやけど兄ちゃんもこないかいらし娘っこと一つ屋根で過ごさなあかんなんて生殺しもええとこやなぁ」


下世話な笑みを浮かべるおっさんにあははーなんて軽く笑いながら。


手の下でもがく夕美の耳許で小さく囁く。


「詳しくは後や。今はいらんこと言わんとってくれ、ややこなる」


こくこくと頷くのを確認して手を離し、俺は話を誤魔化すように徳利を上げた。


「もう一合頼むわ」















昼間から二合も飲んだお陰ですっかり温まった帰り道。


「そっちはどうか知らんけどな、こっちじゃ十八言うたらとっくに嫁いどる奴が大半や」


俺は早速さっきの話を説明して歩いていた。


「まだ十七ですってば」

「今年八になるなら一緒やて。あと半月もしたら十九や、いき遅れや」

「ちょ! なんかいきなり年取った気がするから止めてくださいよっ。それにあっちじゃまだ全然いき遅れてなんかないですからねっ?」


寧ろ早過ぎですっ、と膨れる夕美はやはり女と言うより童と言った感じだ。


……でも、まぁそれならこいつのこの幼さもちぃとは頷けるってもんや。


若いうちに親元を離れんで良いからこそ中身が育つんが遅い、ちゅうところか。


なんや先の世てええんか悪いんかわからんなー。


繋いだ手の温もりからそんなことをふむと分析していれば、隣からねぇねぇと呼び掛ける声が聞こえた。