「……へ?」
きょとん、と音が聞こえてきそうなその顔がゆっくりと傾く。
まぁそんな反応も予想の範囲内だ。
「ほら、自分見た目老けへんやん。あんま長いことおると流石に気ぃ付く奴もおるかもしれへんし」
あ、と微かに声を漏らした夕美はその言葉に納得したのか、半開きだった口を閉じてすっと背筋を伸ばす。
きちんと話を聞ける、そんな真面目なところもこいつの良いところ。
三年半、妙齢の娘が全く変わらないというのは流石に可笑しい。
そろそろ彼処にいるのも潮時だろう。
「じゃあまた別のところで?」
帰る場所のない夕美は、奉公先を出るということは住むところもなくなるとことに直結する。
普通に考えればそうするのが当然、
なのだが。
「や、奉公はもうええかなって思とんねん」
「え、でもそしたら……」
暑さと緊張で渇く口内。
今更ながらに僅かに速まった脈にごくりと唾を飲み、浅く息を吐いて、吸った。
「一緒に住まへん?」
規律に厳しい我が新選組。
だがしかし、原田くん然り、その幹部においては妻子を近くに置くことを許されている。
少し前から考えていた夕美の身の置き方。
それは少し前の隊の再編成によって幹部となったことでしっかりと固まった。
いつどうなるかわからないこいつと俺だからこそ、そういう形が必要なんだと思う。
……否、
「俺と、一緒になってほしい」
俺が、そうしたいだけや。


