「わぁ久しぶりー!」
ごめんなさい少し借りますやましいことはなんもしません多分南無阿弥陀仏。
明るく破顔した夕美とは対照的に密かに念仏まで唱えることになった此処は、以前夕美と過ごした隠れ屋だ。
想定外の出来事に時間を食った今、近場で誰にも邪魔されず話が出来るところといえば此処しか思い付かなかっただけなのだが。
「懐かしいなぁーもう結構前ですよねー」
キョロキョロと部屋を見渡すそいつを見ると、連れてきて良かったかも、なんて思いも湧く。
「三年半、やな」
確かに結構前やなぁ。
半分死にかけていたこいつを見つけて、何も知らぬところから何とか此処で生きていけるまでに世話をして。
あの頃はただそれだけだったのに。
……縁っちゅうんはようわからんなぁ。
「大分成長したと思いません?」
しみじみとそいつを見つめて畳のへりに腰掛けた俺に、夕美は腰に手を当てふふんと自信ありげに口許を緩ませる。
その見た目こそ初めて会った時から全く変わらないものの、中身は当時とは比べ物にならない程に此処に馴染んだ。
ま、そーゆー子供っぽいとこは相変わらずやけど。
しかしながらそんな夕美に随分と救われているのもまた事実。
色々と過るこいつとの記憶に、ついそれが口をついて溢れそうになるが、残念ながら今日はもうあまり時間もない。
「そやな」
小さな笑みを溢し、隣をぽんぽんと叩いてそいつを座らせると、早速本題に移ることにした。
「なぁ夕美、仕事、辞めへん?」


