全ての手筈は済ませてあったのか。
京に戻って十日足らずで彼らは屯所を離れることとなった。
結局永倉くんは残ったものの、古参の助勤二人の離隊は隊士──特に旗揚げ当初からの人間には小さなしこりを残すことに。
斎藤くんが間者であることは俺と副長のみが知る機密なのだからそれも当然だろう。
さわさわとそこかしこでこの分離についての様々な憶測が囁かれ。
隊内が落ち着かない空気を漂わせたまま、ついにその日を翌日に迎えた。
「今日で最後だな」
薄暗い行灯だけが照らす部屋で黙々と布団を敷いていると、隣で既に敷き終えた布団に座る篠原が低く呟く。
六畳の部屋は、少し前に芦屋が脱走してからというもの俺達二人だけ。
故にそれは間違いなく俺への言葉だ。
「……そうですね」
やっと! やっとやけどな! よう耐えた俺!
名目上、友好的な分離ではあるが、各々の隊士間での接触は禁止。
参謀と共に別組織に属すことになるこいつと仲良しこよしする必要がなくなると思えば、嬉しさに涙が出そうだ。
じりじりと迫り来る布団に眠れない夜もこれが最後。
心なしか寂しそうな甘えたような奴の上目遣いが視界の隅に入り込んでくるが、無視で。
とりあえず布団を敷き終えるとそこに腰を下ろし、最後だからこそ聞こうと思っていた疑問を口にする。
「一つ、良いですか?」
「ああ」
「何が、したいのです?」


