滑りの悪い戸を強引に開くと、真っ暗なそこに二つの影が伸びる。
全ての荷を片付けて以来近寄ることのなかったそこは、うっすらと埃っぽい。
外よりも一段と冷えた空気の中に足を踏み入れると乾いた土が音を鳴らして、漸く主人を無くし止まっていた部屋の刻がゆっくりと動き始めた。
「窓開けてくるし、その辺適当に座っとって」
キョロキョロと中を見渡す夕美にそう告げて、閉めきられた雨戸を開けて回る。
一つ、また一つと開けていくと冷たい風と共に差し込む光が淀んだ空気を溶かしていった。
端から端へ、がらんと何もない部屋に視線を這わすと、所々に目につくのは日焼けの少ない畳の色で。
薬箪笥があった場所、枕屏風(マクラビョウブ)の奥、ずっと行李を置いていたところ。
それらを思い出すのと同時に、あの頃の記憶が朧気な輪郭をもって静かに浮かび上がった。
そう──朧気に。
……四年、か。
短く長いその月日は、確かに俺にも過ぎていた。
そのことが少しだけ寂しくて、少しだけほっとする。
窓の縁に溜まった埃をそっと指で掬い暫し眺めると、俺は勢いよく手を叩いてそれを払い、土間へと戻った。
「……夕美?」


