指先でつついて感触を確かめ、くんと臭いを嗅いでみれば何とも言えない微かに芳ばしいような香りが鼻先を擽る。
しかしぺろりと一舐めしてみても、特にこれと言って味らしい味を感じない。
……食うてみるか。
もうそこまで疑っている訳でもないのだが、こういうことについ慎重になるのは職業柄、癖のようなもの。
一方で新たな知識に触れるのに興味をそそられてしまうのは俺の元来の性格故だ。
薄明かりの中、一人ドキドキと胸を高鳴らせる俺は端から見れば少々奇妙なのかもしれないが、幸い此処には眠りこけた夕美がいるだけ。
ごくりと唾を飲み、先ずは小さく一口かじってみる。
舌の上で転がせば瞬く間に溶けてなくなるそれ。
一気に口内に広がる甘さの中に仄かな苦味が控えめに残って。
……何これ!? めっさ旨いやんっ!!
あんこなどとはまた違う甘さに、これだけ固くありながら口の中で溶けてなくなるという不思議な食感。
こんな旨いもんがあるとは……先の世とはなんちゅう素晴らしいとこなんや……!!
残る欠片を口へと放り込み、暫しの至福の時を噛み締める。
うま……。
さっきはばばちいとか思てすんません……。
どすんっ
うおっ!?
響いた物音にハッと我に返った俺は慌てて後ろを振り返る。
そこには部屋の隅まで転がった夕美が壁に殴りかかっている姿があって。
……、手ぇのかかるやっちゃなぁ。
と思う反面、用があると出た俺に手紙とちょこを用意してくれた心意気がじわりと心を暖める。
かいまきごと夕美を布団に戻すと、何気無くその髪を撫でた。
……っ。
その時ふと目に入ったものに、俺は思わず手を止めた。


