ぽそり呟かれたそれはどこか寂しげで。
その向こうにある想いに腹の奥が重たくなる。
「さっきも土方さんには面倒臭そうに追い払われてしまいましたし……わかってましたけど何か少し、寂しいですね」
けほけほと咳き込み、腕に口を押し付ける彼はもう前程の体力はない。
己の身体の変化は己が一番わかっていて。その変化が一番辛いのもまた、己自身なのだろう。
今まで普通に出来ていたことが出来なくなっていく、それがどんなに辛いことなのか。
それはきっと俺達には本当のところでわかってやることなど出来ない。
「面倒だなんて思ってませんよ」
副長は。
俺のところに向かわせたのも心配だからだ。
昔から弟のように可愛がっていた人間が、死病に侵され徐々に弱っていく。自分は何も出来ず、側でただそれを見ているだけ。
その辛さもまた、きっと沖田くんにはわからない。
それでも、
「あの方の本性は、貴方の方がよくご存知でしょう?」
鬼のふりをしても、眉間に皺を刻んでいても、面倒臭げであったとしても。
あの方の想いは一つにあることを、わかっていてほしい。
そう思うのは副長の沖田くんへの気持ちが俺の林五郎へのそれと似ていて、つい重ねてしまうから。
「……だと、良いんですけど」
自信無さそうに眉を下げ笑った沖田くんは、一瞬目を伏せて瞬きと共に再び俺を見る。
「でも、やっぱり女装は見たかったです」
「……貴方の方が似合います」
「ちょっ! 私にはそーゆー趣味はありません!」
「俺かて趣味ちゃうわっ!」
言いたいことは恐らく伝わった。
加えて、今ここで可笑しな勘違いが解けたことが本当に嬉しい。


