けれども……
「ちょ! 人参泥だらけなんですけど! 葉っぱボーボーだし!」
「そらそやろ、畑に植わっとるねんから」
「ひやあぁぁ!! 虫ぃっ!!」
「っ!? 耳許で叫ぶなっ! 虫くらいなんやねんな」
「っくうぅー!! 冷た! 手が死ぬ!!」
「死なん死なん、井戸水はどこでもこんなや」
「ひぃー怖い怖い! 包丁んな握り方したら指つめるっちゅーねん! こうやこう!」
「わー適当に醤油入れんなっ! 味見味見っ」
「ちょい待ちっ! 初っぱなから味噌入れる奴があるかい! 野菜に火ぃ通ってからやっ」
「……もー烝さん細かい……」
「お前さんが大雑把過ぎんねんっ!」
こいつは想像以上に手強いかもしれん。
「まぁ味は普通やな」
ずずずと味噌汁を啜り、率直な感想を口にする。
「でしょー! 烝さんが心配しすぎなんですって」
「味はな。ほれ見てみ、なんやねんこの人参」
と箸でつまみ上げたのは、あと一歩のところででずらずらと連なった銀杏切りの塊。
行儀良う並びすぎやねん。
「もーなんか姑さんみたいー」
「もー姑でもおじさんでも何でもええわい。妙なん紹介したら俺の信用に関わるんや。しっかり学んでもらうで」
そう言ってぱくりと岩魚の煮付けを口へと放り込んだ。
「っ!?」
瞬間、吹きそうになる。
「辛っ! 醤油の味しかせんのやけどっ」
「……あれぇ?」
……ほんま先行き不安や……。


