「餓鬼がんなこと気にせんでええねん。遠慮せんとおにーさんに頼っとき」
「でも」
「別にお前さん一人くらい、二、三日養うたってどーってことあらへん。……まぁ、どうしても気になるんやったら」
飴を舌で挟み、ニイっと口角を上げた。
「毎日これくれたらええわ」
どーせこいつに大した報酬なんて出せんねや。なら気持ちが籠ってればそれでええ。
それに、別に礼が欲しくてやっとる訳とちゃうしな。
「ほら、今日の分はもうもろたんや。んなとこ突っ立ってんと早よ行くで。腹ごなしに町でも案内したろ」
きょとんと立ち竦む夕美の手を引っ付かんで歩き出す。
慌てついて来た夕美は、あわあわと必死に声を上げた。
「……あ、有難うございますっ! こんなので良かったらあるだけどーぞっ! なんならこっそり食べようと思ってたチョコもあります!」
「ほーぉ?この俺に隠れてまたなんかおもろいもん食うつもりやったんか」
「え、あ、や、まぁいいじゃないですか! 鞄に入れっぱなんでまた帰ったら一緒に食べましょうねっ!」
えへへと誤魔化すような笑みを浮かべ腕に絡み付く。
「さー折角なんでうろうろしましょー!」
「ちょ、引っ張んなっ。お前さんが先歩いてどーすんねん」
「あ、そっか」
からん
仄かな甘さを持つ飴を舌で転がし。
改めてその小さな手を引き歩き始めた。
このところの殺伐とした暮らしとは真逆な感覚に僅かな戸惑いも覚えるけれど。
それでも気が付けばこいつの流れに乗せられていて。
知らずのうちに頬を緩ませている俺はまだまだ甘いのだと、苦笑いを浮かべるしかなかった。


