湯上がり美人とはよく言ったもので。
流石のこいつも多少は色気が出るかと思いきや……。
「糠! 良いですねー!しっとり!」
風呂から出てきた夕美は何やら上機嫌に糠を褒めまくり、丸く上気した頬はまた一段と幼さを引き立てていた。
「お前さんほんまに十八か?」
つい本音が漏れたのは無理もない。
「へっ? 何でまた急に? まぁ誕生日前なんでまだ十七です」
「どっちでも一緒や。てかお前さんは生まれた日ぃで年数えるんか」
「こっちでは違うんですか?」
「ああ、一年の頭に数えるな。せやから俺ももうすぐ三十一や」
生まれた日なんて覚えてへん奴もいてるしなぁ。かく言う俺もその一人やし……、ん?
突然繋いだ手がくんと引かれ。見れば何やらぽかんと口を開いて立ち止まる夕美の姿。
「……どしてん? 間の抜けた顔して」
数えかた違うんて、そない驚くことか?
「夕美?」
「す、烝さん、すっごく若く見えますねっ!!」
首を傾げた俺に返ってきたのは予期せぬ言葉。
……待て、あかん、緩むな俺の顔っ!これは世辞や!単なる世辞や!
だって……だってやで!?
「老けとるだのじじくさいだの言うとったやん」
「や! それは実際の年を知らなかったからですってば! よっこいせーとか言う言葉がじじくさいだけで、二十五くらいかなって思ってたんですからっ」
「ほ、ほんま?」
「本当ですっ。だから意外におじさんで逆にびっくり……あ」
………お・じ・さ・ん・て!!
おじさん……
おじさん……
おじ……
お……、くすん。
や、どーせそんなオチや思たけどなっ。
「あ、あの……」
おずおずと上目に見やる夕美の手を引き大股に歩き出す。
「飯や! 早よ飯食い行くでっ!!」
「ひーんっ、ついうっかり言い過ぎましたごめんなさーいっ! どー見てもおにーさんですぅぅ!」
……ええもんっ。


