──伊東の『周り』を探れ
それが副長からの仕事。
参謀という地位につき局長からの信頼も厚い彼は、当然平隊士からの信頼も厚い。
勿論、上役として下に慕われるということは良いことだ。
だが気になるのは服部のような取り巻き達の動き。
特に江戸からついてきた連中は『どれだけ彼が素晴らしいか』と言うことをまるで暗示のように他の隊士達に吹き込んでいる。
あえて派閥を作らせようとしているかのように、だ。
そこに目的があるのかないのか、それを探ることが俺に与えられた任務。
しかしながらもし何かしらの目的あってのことならば、監察である俺があからさまに近づけば、一人を除いて間違いなく警戒される。
故にまず伊東参謀本人に近付くことにした。
んやけど。
まさか藤堂くんがあっこまで心酔しとるとは思てへんかったわ。
そらまぁ下地があったとはいえ、あの含みのある言い方……気になんな。
隊士募集から戻ってきやった時暫くなんや大人しなーとは思とったけど向こうで何か……
や、何かあったんはこっちか。
あん人がおらん間にこっちは変わり過ぎた。
屯所の移転、そして山南さんの脱走に──死。
そうや、昔馴染みで剣の流派もおんなし。やからこそ思うところがあったかて可笑しない──
「はぁ」
ぐるりと巡る嫌な考えに一つ息を吐き出して。
顔を上げた俺はまた歩を進めた。


