【完】山崎さんちのすすむくん


唇を結び、沖田くんを見据える。


今この場でその内に秘めた本音を聞いておきたかった。


その想いを。覚悟を。


でないと俺が、負けてしまいそうだったから。



「……怖くない、といえば嘘になりますけど」



苦笑いで肩を竦めた沖田くんが視線を逸らす。


ただそれは逃げではなく、表現する言葉を探しているように見える。


暫しそうして目を泳がせたあと、彼は眉尻を下げ哀しそうに笑った。


「私にとって此処は家で、皆は家族みたいなものなんですよね。もう、家族と離れるのは御免なんです」



じわりと熱が込み上げる。


沖田くんがまだ小さな頃に家を出され、内弟子として道場に預けられていたとこを聞いていたから。


「それに、此処が一番私らしくいられる気がするんですよね。それでいて子供達を、町を守れる。ならいっそこの手が上がらなくなるまでそうしていたいと、そう、思うんです」


口許に微かな笑みを滲ませて、彼はその手を見やる。


剣だこにまみれ、すっかり皮の分厚くなったその手を。


もしかしたらそれが、今までの彼を表す唯一のものなのかもしれない。



自分は、最後の最後まで剣に生きる、そう……言うんやな。


勝手やな。その『家族』がどう思うかなんて考えてへんのやろ。


ほんま、勝手やわ。



せやけど……





「わかり、ました」



そんな目ぇされたら俺、もうなんも言えへんわ。