労咳──それは不治の病。
咳に始まり、熱、食欲の減退、呼吸障害、そして喀血。
最期はまさに骨と皮だけのように痩せ細り死に至る恐ろしい病。
本来ならば医者として療養を勧めるべきものだ。
でも、沖田くんは……自分の病に気付いた上で此処に残るっちゅうんか。
先生の言うことはわかる。わかる、けど……ほんまにええんやろか。
医師として、患者の寿命を縮めるてわかっときながらそれを認めるんか。
弱ってく沖田くんを傍で見とくんか。
それは、俺自身がじわじわと沖田くんの首を絞めてくことになるんちゃうやろか──
「確かにお前さんには辛いことかもしれん、だが彼にも信念があるのだろう。一度よく話してみると良い」
さぁ出来た、と置かれたのは薬の入った二つの紙包み。
「解熱と咳止めだ。儂は先に近藤くんのところに今日の報告に行くから、お前さんから渡しておいてくれ」
「え?」
俺一人で?
意外な言葉に瞠目すれば、その人は力強い笑みを見せた。
「お前さんはもう此処の隊医みたいなもんだ。それに、儂はおらん方が話しやすいだろう」
その言葉に思わずごくりと唾を飲み込む。
奥医者である松本先生に頼り続けることは出来ない。沖田くんを一番近くで見、支えて行くべきは──
……俺、なんや。


