この俺ともあろう者が噛んでまうとはなんちゅー失態!
しかもりんごりょー……またえらいかいらし感じになってしもて。
お前の名前活用形多くて闇にびっくりするわ。
さらーっと流して……
「りんごりょ……」
くれへんわな。
既に言葉を反芻している夕美は顔を向こうに背けて微妙に肩を震わせている。
こっそりどハマりやないかいっ!
「なぁなぁ頼むし普通に笑て突っ込んでっ! せやないと俺無性に恥ずかしわっ!」
堪えんでええし! ちゅーか堪えきれてへんしっ!
どうせ笑うんやったらもっと堂々と笑てくれた方がこっちも噛んだ甲斐があるってなもんやっ!
くんくんと袖を引いて訴えれば、未だ震えたままの夕美は袖で目尻を押さえて振り返った。
「もー烝さんの間違い可愛過ぎでしょー」
いつもは大きく開いた目を細め、涙を滲ませて笑うそいつの姿に何故か無性に照れる。
「えーやん、俺もたまには噛むねんたーまーにーはっ」
「別に悪いなんて言ってないじゃないですかーただそんな烝さんも可愛いなーと思っただけですー」
「何言うてんねん、俺なんかよりお前さんの方がよっぽどかいらしわ」
「へっ、ちょっ、変なこと言わないでくださいよっ」
……また変なこと言うてた?
俺の腕にバチコン平手を炸裂させた夕美の顔はほんのり朱色に染まっていて。
え、何、そーやってあからさまに照れられると言うた俺までなんや恥ずかしねんけど。
いやいややっぱしここは照れるとこやないでっ。
だってそーやん、どー考えても男の俺よりお前さんの方がかいらしやん。普通やんっ。
とわたわたと頭で独りごち、しばかれた腕を擦ると、漸く緩んだ空気に俺はそっと息をついた。


