「……美味しーですねっ」
隣に腰かけた夕美が、いつもの如く口の回りに汁粉をつけへらりと笑う。
「……そやなぁ」
同じようにへらりと笑みを返すと俺は茶を啜った。
何となーく互いによそよそしいのは気の所為ではないだろう。
間がええっちゅーか悪いっちゅーか。まぁたなんで昨日の今日でこれとの約束があったんやろか……。
溢れそうになる溜め息を茶で押し流す。
喉を潤す温かい茶は少しばかり心を落ち着かせる気がした。
夕美の様子が可笑しいんは一昨日の林五郎の件があったからやんな。おんなじ顔やし嫌でも気になるやろし。
まぁ、夕美が自分から言うまで俺が聞いたとかって言わん方がええわな。
もー林五郎がいらんこと言うさかいなんや俺まで気になってまうやんかあの阿呆め……。
「あの」
「ん?」
間を潰すように茶ばかりを啜っていれば、残り僅かとなった汁粉の椀を見つめた夕美がおずおずと呟く。
「りんちゃんって烝さんと同じお仕事なんですよね? 何か……言ってました?」
どこか固い声にその緊張が伝わってくる。
そして俺まで緊張する。
……こ、こーゆー時はなんて言うたらええんやろ。
『聞いたでーうちの弟が困らしてすまんなぁー』
や、それは林五郎が哀れ過ぎる。
それにそんあとなんて話続けてえーんかわからんし! めっさ気不味いわ!
ちゅかあかん! 早よ答ぇな怪しーやんっ!
「りんごりょーとは部屋もちゃうしやっとる任務もちゃうからあんま話さんねん」
……噛・ん・だ!


