せやけど、ほんならさっきなんでまたあんなめんどそうな顔してはったんや?
今のこの顔見るとお西さんに対してはなんや落とす自信ありそやし。
ちゅうことは向こうさんやのうて『こっち』になんか問題があるんか……?
「そこまでお考えとは流石です。副長のことですから向こうを言いくるめる手はもう考えてあるのでしょう。で、うちにどのような問題が?」
包むことなくはっきりとそう問えば、副長は煙管を置き、ふっと鼻で笑う。
「そこは察しが良いじゃねぇか。そうだな……間違いなく山南さんとはぶつかるだろうなと思ってよ」
ボリボリと頭を掻くその人は心底面倒臭そうに溜め息混じりに言葉を吐き出した。
そか、山南さんはどっちかっちゅうと尊皇やもんな。そこは向こうさんとの方が肌が合う。
うちも旗揚げ当初は尊皇を掲げとったらしいけど、幕府の組織である守護職に召し抱えられて以来、局長の意向もあって今や完全左幕、目指せ幕臣や。
副長はその辺は全く興味あらへんみたいやし、俺かて別に大層な思想がある訳ちゃうからなんでもええっちゃええねんけど。
それに昔儒学を学んではったっちゅう山南さんは『仁・義・礼・智・信』を重んずる。
時たま黒い割りに誠実性やら利欲にとらわれへんことを良しとしはるし。
副長の成すべきに方法は選らばへんっちゅうやり方には今までもちっさく揉めてはったみたいやし、今回も間違いなくそぅなるな。
あん人論理的に物事語りはるから反論されたらよっぽどめんどいんやろなぁ……。
うん、確かにそれはちいっとばかしわかる気ぃするわ。
「ま、避けてばかりもいらんねぇな。良い機会だ、まずは近藤さんに話してみるさ」


