【完】山崎さんちのすすむくん


そんな思いのまま薄く笑みを浮かべ、俺を見る黒の双眸を見つめ返す。


すると、


「や! これはまぁそのっ、山南さんの受け売りなんですよ! 以前私もその、ちょっと鬱々とした時がありましてっ! その時にそう言われたんです!」


何故か沖田くんはぽっと頬を赤らめ、慌てた様子で手を振りつつ頭を掻いた。


なんや、そない照れるとこか?


なんて思ったのも束の間。


「な、なんか今一瞬山崎さんが女子に見えました……」


ぱちぱちと目をしばたたかせて俺を見る沖田くんの言葉に、色々な意味で心の臓が跳ねた。


バレて……へんでもなんか嫌やしぃぃ!!


こん人の好みが俺(女装)なん忘れとったわ!


お柚ちゃん時は結構薄化粧やったしな……こら暫くちと気ぃつけんとあかんな。


笑たあかん見つめたらあかん笑たあかん見つめたらあかん……。


そう心で独りごちて、ゴシゴシと目を擦る沖田くんを見る。


……とりあえず軽ぅく流そか。


「こほんっ。受け売りと言いますが教えとはそんなものですよ。師から教わったものをまた次の世代に伝えていく、剣だってそうでしょう? 確かに山南総長らしいお言葉ですが、俺に教えてくれたのは沖田助勤です」

「あ、えと、そ、それはそうですね」

「ですから私は貴方に感謝していますよ」

「……へへ、なんかそー言われると照れますね。まぁ少しでも役にたったなら良いです」


よっしゃ、逸れた。


今度こそ本当の照れ笑いになったその人にそっと胸を撫で下ろし、二言三言言葉を交わすと腕に抱える褌に火熨斗をかける為、ようやっとその場をあとにした。