【完】山崎さんちのすすむくん




それは深く、重い言葉だった。


一年前の俺なら一笑に付していたかもしれない。


しかしながら今、そして修羅とまで呼ばれる沖田くんの言葉だからこそ、俺の心にズンと重くのし掛かってきた。



……簡単やない、か。


こん人も、思い悩んだことがあったんやろか。


て、そら、あるわな。


普段はこない気のええ兄ちゃんや。


土方さんなんかは京に上る前も喧嘩やらなんやらでバラガキなんちゅうあだ名までつけられとった程血の気あったらしいけど、こん人はんな話も聞かん。


今や必要とあらば容赦なく刀抜きやるけど、初めて人斬った時は暫くその感触が消えんのが普通やゆうし、こん人もきっとそんな時があった筈や。


こん人こそそーゆー感情はどっかやってもぅたんや思とったけど……ちゃうんやな。


きっと自分の中で折り合いをつけはったんや。


殺すこと、生きること。


己の誠のもとに。


せやさかいこない真っ直ぐな目ぇ出来るんやろな。


こん人は、俺が思っとった以上に色々考えてはったんや。なんや、ちとびっくりしたわ。


……感情があるから……人。


単純なよで、難し言葉やな……俺には素直に頷かれへんわ。


俺は、乱破やさかいに。


感情なんて殺してなんぼの世界や、ある程度の自己犠牲はしゃーない思とる。



それに俺は、頷いてしもたらあかん気ぃがするんや──





「……糧となる諭し、有り難うございます」



それでも、じわりと身に染み込むような言葉は素直に有難かった。