「や、別にこれと言って大した用がある訳ではないんですけど、最近忙しそうだし非番の日もあまり姿を見なかったのでどうしたのかなーと思いまして」
はっと思い出したように人差し指を立てた沖田くんは満面の笑み。
それは心配していたと言うよりも何やら詮索したいという意が見え見えだ。
あん時以来めっさ聞きたそうにしとったもんな。せやさかいあえて近寄らんようにしとったんやけど……。
だがここは下手な誤魔化しをするより、はっきりと事実を伝える方が賢明であることは明白。
「別に、大したことは何もありませんよ。山南総長から本を五十冊も頂いたものですから非番の日は部屋でそれを読んでいただけです」
「なぁんだ私はてっきりあの女子と会ってるのかと思ってました」
やっぱりそれかい。
溜め息を溢し、手にした褌を簡単に畳んでいく。
「前も言いましたけど、あれはそーゆーのじゃありませんからね?」
「もーそんなこと言いながら『あれ』とか! なんか夫婦(メオト)みたいでこっちが照れるじゃないですかっ」
「はぁ……痛いです」
きゃっ、なんて可愛く悲鳴をあげた沖田くんはベシベシと俺の腕を叩いてきて。
大坂におった頃近所にこんなおばはんおったっけなぁ。
なんて懐かしい記憶がぽっと浮かんだ。
「……どう思ってもらっても構いませんけど、俺は女子には特に興味がありませんので」
「……え」
「男にも、です」


