……ん?
うっすらと雪の付いた褌をパンパンとはたいていると、端の方に墨で小さく小さく文字が書いてあった。
『土方歳三』
……みみちっ!
や! すんまへん! 細かいとこまでよぅ心遣いが行き届いてはるだけですね!
こーゆー時取り込んだ人のこと考えてくれてはるんですよね!
最近伊東くんら以外にも隊士増えてきて忙しそやし、そら洗濯もん取り込む暇もないっちゅー話ですよね!
みみちいとか思てほんますんまへん!
お詫びにこれは俺がきちんと火熨斗(アイロン)かけさせてもらいますよって!
「あれ? これ土方さ」
「私が責任もって渡しておきます」
同じく名前を見つけた沖田くんの手からさささと赤い褌を抜き取る。
我ながらその早さは手妻師さながら。
一瞬にして褌の消えた空間を目を丸くして見つめたあと、沖田くんは何故か呆れた様に吹き出した。
「相変わらず山崎さんは土方さんにご執心ですねぇ」
「……良いでしょう、別に」
「ええ勿論。あ、でも一くんがヤキモチ妬きそうですね」
「せやからその言い方やめいっ。……ごほんっ、それより何か用があったのでは?」
今のは明らか狙ったやろっ!
ふふ、と微笑む男前をじろりと睨み。
さっさと話を変えるべく俺は自ら話を振ることにした。


