師走に入ると町は独特の忙しなさに包まれる。
雪の積もる日も増え、どんよりとした空はそこはかとなく気持ちを沈ませる気がした。
ふと空を見上げると、白い息が冷たい風に溶けていく。
そう感じるんは俺だけなんやろか──
なんて目を細めて。俺は近藤局長に続き公卿屋敷の門を潜った。
うーさむさむ。
袖に手を引っ込め、はらりと雪が舞う縁側を歩き進む。
半刻程前から降りだした雪に庭の草木はうっすらと白く覆われ、なかなかに趣深い光景とも言える。
……あれさえなかったらな。
ちゅーか誰やねん干したん。早よ取りこまなびっしょびょのカッチコチや。
赤白黄色ととりどりにぶら下がる褌に、仕方なく庭に降りようと脱ぎ捨ててある下駄を履いた時。
「あ、山崎さん発見っ!」
なんて言葉と同時に縁側を駆ける音が聞こえた。
……無視でえっか。
何となく過る面倒臭そうな予感にそのままカランと足を踏み出す。
「もー待って下さいよっ」
恐らく頬を膨らしたであろう沖田くんが一足違いに同じく下駄を鳴らして駆け寄ってきた。
「最近山崎さん冷たくないですかーなんか寂しいですっ」
「これが普通です。洗濯物を取りに行くだけですから良いかなと思いまして」
「え、じゃあ心を開いてくれたってことですか!? それなら嬉しいですねーえへへー」
途端にころりと声を弾ませるから俺までつられて笑ってしまう。
「まぁ折角です、取り込むの手伝ってくださいね」
「勿論構いませんよっ。て言うかなんか山崎さんって此処のお母さんみたいな働きっぷりですよねー」
「俺の性別どこいってん」
「わぁ素ですねっ! たまにしか聞けないからそれ使われるとすっごく興奮します!」
「……頼むから妙なんでっかい声で叫ばんといて……」
自分のそーゆーのんはちとひいてまうけどな……。


