【完】山崎さんちのすすむくん



「あ、や、食べたからっ!」

「? 食べ言うたやん? あかんかった?」

「いえ! どーぞどーぞ!」


……たまにようわからんやっちゃな……、っ。


あたふたと腰の低くなった夕美に首を傾げていると、一瞬刺すような感覚に襲われる。


「烝さん?」


なんや? 今後ろに妙ーな視線を感じたんやけど……。


しかしながら俺の本能が鳴らすのは違う意味での『嫌な予感』。


「すまん、ちょー待っとって」


その場に夕美を残すと少しばかり通りを戻り、脇に延びた小路を確認していく。


すると。



「……お二人は何をやっておいでですか」

「や! ちょっと一休みしていただけだぞ! なぁ? 沖田くん!」

「そ、そうですよ! 仲良いなーとか思って見てたりなんてしてませんからっ!」


そこにいたのは仲良く壁にへばりついたさっきの二人。


手を取り合ってわざとらしく笑う二人に、俺はにっこりと微笑んで近寄った。



「……しょーもないことしとらんでさっさ帰れやこん阿呆共っ!!」

「わ、悪かった!」
「わーん、ごめんなさーいっ!」


思わず地が出たのはしゃあないと思う。










「……、あれ?」


今度こそ二人を見送って、夕美を残した場所へと戻ってみると、何故かその姿は何処にもない。


まぁたどっかふらふらしとるんか?


はぁと溜め息をつくと、耳を澄ませ気配を探った。




……。