その声に仕方なく後ろを向くと、今しがた買ったと思われる包みをカサカサと開いていた。
「お夕美ちゃん」
おいでおいでとその名を呼ぶ沖田くんに、夕美は此方をちらりと見て。
「行ってき」
俺は素直にその気持ちを受けとることにした。
しかしながら団子を一本受け取った夕美に、沖田くんは何やら小さく耳打ちをする。
途端に夕美があわあわと赤くなり。
?
と首を傾げている間に二人は『また屯所でー!』と去っていく。
……何言うてん?
とととと小走りで戻ってくる夕美に合わせて歩き出すと、早速その疑問をぶつけてみた。
「なんやて?」
「やっ、別に! 三十本買ったから一つどうぞって! お、お土産ですかねー?」
三十本……二人でやんな? 一人でとちゃうよな?
……取り敢えず奴らが買い占め犯なんと、あれが土産やないことは確かやな。
「あの! す、烝さんもどうぞっ」
そんな胃のもたれる想像に頬を引きつらせていれば、目の前に差し出された団子串。
「ええよ、一本しかないねんからお前さん食べ」
「でも折角だし! 一つだけ、食べませんか……?」
さっきの名残か、未だ赤みの残る頬で遠慮がちに呟かれると何となく食べないといけないような気持ちになってくる。
「……ほな一つ」
動かぬようにと串を持つ手を上から握り、その仄かに黄みを帯びた四連の団子を一つだけかじり取った。
もぐもぐと何度か噛むと口に広がる意外な甘味。
「へーお芋さんの味かぁ」
珍しなーおもろいやん、そやから人気なんか。これやったらそない甘ったるくないしええなぁ。
「……て、夕美?」
なんやねん、ぽかんとして。


