「……はあ」
若干拍子抜けしつつもあとについて歩き出す。
なんやようわからんけど助かったしまぁええか。
一回ぷっつんしてもーたらほんま容赦ないさかいな、暫く逃げ回らなあかんとこやった。
斬り合いん時とか急に好戦的になって飛び込んでいきやるから魁先生とかゆう異名までついてんの知ってはるんやろか……。
「ところで山崎さん何処行ってたんですか?」
「副長に頼まれたので墨を買いに」
「へーなんか小姓みたいですねー。あっ、もしかしてこの前小間物屋いたのも土方さん関係とか? ならりんごにそう言っといてくださいねー」
……何でそこでりんごが出てくんねん?
「林五郎にですか?」
「うん、山崎さんが教えてくれないからりんごに聞いたんですよねー『あの人新しい恋仲でも出来たの?』って。そしたらすっごくびっくりしてたから」
こいつか……あいつに火ぃつけたんはこいつやったんか……。
「話して、おきます」
くらくらする頭を押さえ言葉を返すと、丁度裏口に着いたのもあって話はそこで仕舞いになった。
藤堂くんと別れた俺は一人副長室へと向かいながら、今日何度目かわからない溜め息をつく。
そぉか、それで俺が夕美に匂袋やったん気ぃ付いたんか。
ほんで勘違いしたんやな……。
ちゅうても今は俺が何言うても無駄そうやしなぁ。
もうちょい落ち着くまで待つか……。
再び息を吐いてふるりと首を振ると、敬愛するお方の部屋を前に俺はそっと姿勢を正した。


