「わかってるわ……俺かてこんままやったらあかんなって思ってたんやっ! せやけど、せやけどお兄が相変わらず阿呆やからっ!!」
叱られた子供のように力一杯そう言うと林五郎はふいと俯く。
その様子に一瞬目を丸くしてしまう、が。
「なんでそこで俺が阿呆呼ばわりされなあかんねん」
意味わからんし。
そら俺に対して態度が可笑しかったさかい、そこはなんや思うとこがあんねやろけどやな。
せやけどお前に阿呆て言われるよなアレは何もないよに思うんやけど。
ムッと眉を寄せた俺に、林五郎また同じように眉間に皺を刻んで顔をあげた。
「お兄はっ」
久々に真っ向から挑んでくるその眼は、何かが葛藤するかのようにゆらゆらと揺らいでいる。
それでも決意を決めたのか、開きかけたその唇をきつく結び、そいつは声を絞り出した。
「お兄は今……お姉のこと、どない……思ってんの……?」
琴尾、を?
あまりに唐突で、あまりに真剣な質問に、一瞬言葉を失う。
「……どうってそりゃ、今かて大切やで?」
長い刻を一緒に過ごしてきたんや、それはこれからも変わらん。
痛みが薄れようと、俺なりに生きてくと決めたかて。
あれはもう俺の一部やねんから忘れるなんて出来へん。
泣きそうにも見えるその顔を見据え、静かに言葉を返すと、林五郎はまたも消え入りそうに呟いた。
「じゃ……夕美、は?」


