途端にその大きな瞳はくるりと丸みを増す。
直後何故か半笑いで視線を逸らすと小さく呟いた。
「……わかってんのかな……」
「何が?」
「や、もういいです。それより今日はどうしたんですか?」
よぅそんな反応しやるけど一体何やねんな。気になってまうやんか。
なんてちょっぴり拗ねて、
あかん年上年上。
すぐ様思い直す。
気を取り直して袂から匂袋を抜き取り、そいつに差し出した。
「約束、してたやろ」
結局選んだのは青藍地に桔梗の花が描かれたもの。赤地だった前のものとあえて雰囲気を変えてみることにした。
桔梗の根は薬種にも利用出来、町医だった俺には馴染み深い。
凛とした佇まいのその花も割りと好きだったりする。
「わぁっ! 有り難うございますっ!!」
それを手に取ると夕美はその顔を鮮やかに綻ばせた。
嬉しそうに目を輝かせそれを見つめるそいつに、俺もそっと胸を撫で下ろす。
「この花はな、蕾ん時は花弁がいっこにくっついとって風船みたいに膨れてんねん。で、お前さんもよぅ頬っぺた膨らしとるなー思てな」
「えーそれ何か微妙ー」
なんて言えば案の定夕美はぷっくりと頬を膨らませて。
それがあまりに予想通りの反応過ぎて、俺は小さく吹き出した。
「その顔やその顔」
それを片手で挟んで空気を抜いてやる。
「ぴったしやん」


