ってあかんあかん、どーも最近思考が沖田くん寄りになってきた気ぃするわ。


ふるりと首を振って再び沖田くんを見下ろす。


「何故また蟻を?」

「あ……いえ、ちょっと心頭滅却をと思って」


……、蟻で?


うん、まぁそこは突っ込まんといたろ。ややこなりそうや。


ちゅうか、やっぱり滅却せなならん雑念があるんやな。


「私で良ければ話くらいは聞きますよ?」


あんまりなごぅ腑抜けてもろても困るし……それにまぁなんやかんやで沖田くんには世話になっとるしな。


……こない年下なんに世話になっとる俺もちと悲しいけど。


や、まぁ年は関係ないな!


そんなことを考えていれば、藍の袴を払い立ち上がった沖田くんは両の人差し指を絡めて何やらモジモジと顔を赤らめている。





と小首を傾げた俺に、彼は恥ずかしそうに目線だけをちらりと寄越した。


「内密に、お願いしますね?」


内密て、倒れたこと気にしとったんとちゃうんか。


思わぬ事実にごくりと唾を飲んで表情を引き締める。


「実はですね……」


そう言って内緒話をするように口許に手をやった彼に、俺も僅かに耳を寄せた。


「池田屋での討ち入りの時に私を介抱してくださった女子がいましてね、あれ以来その、彼女のことが頭から離れなくて……」


……、んんん?


ついと眉を寄せ、ぼそりと聞き返す。


「離れないと言うのはその、どういう意味でしょう?」

「っ、やだなぁ皆まで言わせないでくださいよっ。……好いてしまったんですっ」



好い……てえぇぇっっ!?