……共にて、んな簡単なもんとちゃうやろ。一介の町人がんなほいほい召し抱えられる訳……。


「俺達は壬生浪士組っつうんだ」


浪士、組? 聞いたことないな、役人か思たけどちゃうんか?


「まだ組織されたばかりで人手が足りなくてな。前見た時から思ってたんだけどよ、その身のこなし……おめぇただの町人じゃねぇな?」


……あの蹴りはそれを確認する為でもあったんか。中々よぅ見とるなこいつ。


無言でその顔を見据える俺に、男はニヤリと笑った。


「それは肯定ととるぜ? なら尚更だ、命を粗末にするな。その怒りはもっと有効に使え」


どこか偉そうなその男の言葉は、不思議と熱をもって俺の中に波紋のように広がっていく。


「この町は俺達が守ってやる。だからおめぇも、手伝え」



この町を……守る?


俺、も?


守れるんか? 琴尾一人守れんかった俺が?


そんな大層なこと俺なんかに……。



つい目を逸らせば、それを許さんとばかりに言葉が吐かれる。


「どうせ死ぬ覚悟だったんだろ、死んだと思って命賭けてみやがれってんだ。やる前から逃げんな、胸を張って生きろ。それが」


男はそこで口を一文字に結び、睨み付けるように俺を見据えて言った。



「一番の、手向けになる」

















そん時俺は決めたんや、こん人についてこて。


救ってもろたこの命、こん人の為に、京に住む人ん為に賭けてみよて。


それが、俺が新選組と……土方副長と出会うきっかけやった。