【完】山崎さんちのすすむくん



そんなこんなで漸く腰掛けた棟の上。


淡い月明かりが町を照らし、湿った風が柔らかく髪を靡かせ肌に纏わりつく。


なんとなく改まった空気の中、鈍い光を映す長屋の屋根を眺めながら俺は口を開いた。


「お前さんの言う通り、俺は乱破……お前さんの言うところで『にんじゃ』、になるんかな」


この先を言えば、何かが変わるかもしれん。


けど、言うしかないから。


ごくりと息を飲んで、俺は静かに言葉を紡いだ。


「俺はとあるお方に仕えて新選組の隊士として動いとる。職務上あんま大っぴらに立場を言えんくてな……騙す形になってしもてすまんかった」


こいつももう此処に来て半年近くになる。名前くらい聞いとる筈や。


それに、もし先の世で何かしら俺達のことが残っとったら、その知識もあるかもしれん。


こいつは、なんて言うんやろか……。


「新選組……」


組んだ指に視線を落とした俺に、小さな呟きが聞こえ。


ふと、顔をあげる。


すると、


「マジですか!」


さっき以上に輝く夕美がいた。


……、なんでっ!?


「新選組って言ったら超有名ですよ! お土産屋さんにも一杯あったし! 青くて白いギザギザ模様の羽織ですよね!」


俺らが……土産!? しかもようさん!? 何がどうなってそうなんねん!?


てかギザギザて! ……まぁギザギザか。


……ちゅうか今の嫌われっぷりからは想像でけんねやけど。


組織として続いとるっちゅーことか……?


「それに今や歴女に大人気なんですよー! まぁ私は歴史に興味ないんでよく知らないんですけど」


「て、知らんのかい!」