【完】山崎さんちのすすむくん


ゆっくりと目を開いた夕美はそろそろと辺りに視線を移し。


「……ぅ、わあぁぁ! すっご!!」


破顔した。


……あれ? なんやこうもっと驚くとかちゃうん?


「屋根の上とかもう漫画の世界なんですけど! てかあれですか? あれですよね! 烝さん実は忍者ですね!?」

「に、にんじゃ?」


しかもさっきまでの不機嫌はどこいった!?


「だから変装とかしてたんですね! うわー昔はホントにいたんだっ! あ、黒装束とか着ないんですか? 手裏剣とかホントに使ったりするんですか??」


……乱破のことっぽいな。


そうか……俺らみたいなんは先の世にはもうおらんのかぁ。


少しばかり寂しいようなそうでないような。


複雑な感情が湧くも、間近にあるきらきらと興奮した夕美の眼に今の状況を思いだし、俺は苦笑いを浮かべた。


「話が早ようて助かるけどな、取り敢えず座ろうや」


抱き上げたまんまやし。


流石にこんままはちょっとなぁ……。


「ーーっ! ごごごめんなさいっ! 今すぐ降ります! 降ろしてくださいっ!」

「ちょ、こら暴れんな! 落っこったらどーすんねんっ!」


俺は兎も角自分は下までころころりんやっちゅーねん!


突然狼狽え身を捩る夕美に慌て腕に力を込める。


必然的に近くなったそいつは真ん丸に目を見開いて。


「ご、めんなさい……」


体を丸めるように顔を伏せると小さく呟いた。