「……ぅ……」
未だざわめく通りの隅で、気を失っていた沖田くんが身じろぐ。
「あ、気がつきましたか」
まだ意識がはっきりとしていないのか、苦しげに顔を歪め額に置いた濡れ手拭いに手をやる様は、上半身を脱がせている所為もあってか無駄に色っぽい。
「ぁ……? 此処は……貴女は?」
あ、そらそーか。
「私です、山」
「通りすがりの町医の娘さんだって。総司の着物脱がせたのもその人だよー」
……おいなんやねん、その設定。
突然口を挟んできたのは隣に寝転がった藤堂くんだ。
俺は思わず深く息を吐き出して、そのシシシと口角を上げた血の気のない青年をジロリと睨んだ。
「あので」
「ぅ、わわわっ私……っ」
瞬間、沖田くんが慌て起き上がり。
くらりと倒れた。
「ちょっ、沖田助勤っ!? 無理に起き上がってはいけません! 暑気あたりで昏倒していたんですからね!」
「やっ……でも」
「でもも糞もありません。さぁ手伝いますからこの水を飲んで大人しく横になっていて下さい」
「糞……!? って、それくらい一人で飲めま……」
「ですからまだ起き上がるのは無理ですよ。あまり手間をかけさせないで下さい。ほら、ゆっくり飲んでくださいね」
「は……はい……」
何故か一人慌てふためいて再び倒れかけたその人の背を支え、用意してあった水筒から水を飲ませる。
この際、隣で笑っている藤堂くんは無視。
てか自分かて一人じゃ起き上がれんくて、さっき俺が水飲むん手つどうたったやないかい。
こんな場でも緊張感の薄い二人に溜め息を溢し、
「良いですか? 二人とも此処で大人しくしておいてくださいね」
俺は他の怪我人を看る為にその場をあとにした。


