取り敢えず浪士は手足を縛り、その場に放置して。
何となく無言のまま夕美を送り届けて戻ってきた池田屋の前。
丁度中から姿を表した二人の隊士に、俺は思わず声を荒らげた。
「どうしたんですか!?」
平隊士に担がれ出てきたのは顔面を真っ赤に染めた藤堂くんだ。
出血が多く、着物や袴までが血に染まっている。
まさか……!?
「あ、額を斬られたようで……あの……?」
「この声は……山崎、さん?」
ぐったりとしながらも俺の声に顔を上げる彼の声が、一瞬過った嫌な予感を掻き消した。
「えぇ!? 山崎さん!?」
「藤堂助勤! 大丈夫ですか!?」
が、ガクンと膝を落とした藤堂くんに慌て近寄り体を支える。
「大丈夫です、って。ちょっと血が目に入って……前が見えないだけ……っ」
あかん、こら血ぃ流し過ぎやっ!
「良いから兎に角傷を見せなさい!」
それでも立ち上がろうとする彼を無理矢理通りの脇に寝転ばし、俺は元医師としての仕事に取りかかった。
藤堂くんについていた平隊士はすぐに中へと戻っていき。
相変わらず中からは幾人もの咆哮や刀を打ち合う鈍い音が鳴り響いていている。
「……取り敢えずはこれで良いでしょう」
幸いにも額の傷以外に大きな怪我は見られず、袖に掛けていた襷を手当てに使い応急処置を施した。
「たく皆大袈裟なんですよね……でもまぁ山崎さんが女に見える時点で僕の目も腐ったのかな……」
少々面が剥がれかけた藤堂くんが、何やら眉間を揉みながらボソボソと呟く。
あんさんが言うと本気なんか軽口なんかようわからんわ。
まぁそない大人しゅうしとってくれんねやったらなんでもええけども……。
「誰かっ! 沖田助勤がっ!」


