【完】山崎さんちのすすむくん


何やら意を決したような目をした夕美が突然バッと顔を上げ。


思わず声が裏返る。


「その、お柚さんは……」


瞳を揺らし言い辛そうに言葉を紡ぐそいつに、蒸し暑さも相まってつつつと一筋、汗が流れた。


き……気付いた? 気付いたんっ?


それでも顔には笑みを張り付け続きを待っていれば、夕美はその赤い唇を一瞬きゅっと結び、ゆっくりと口を開いた。


「烝さんとどーゆー関係なんですかっ」


……、はぇ?


全く予期していなかったその言葉に、手から椀が滑りそうになる。


どーゆー……かん、けい?


「す、烝……はんと?」

「はい、その、特別……親しい、とか」


なんや……ばれたんとちゃうんかぁ……。


おどおどと俺の反応を窺うそいつの真意は見えないものの、一先ずそっと胸を撫で下ろす。


「まぁそれなりに親しゅうさせてもらっとりますけど」

「そう、ですか……」


な、なんでしょげる!?


だってそれなりに親しゅうないと紹介とかないやん!? やっぱりその辺の設定はしっかしとかんと!


「それがどないしたん?」

「や、何でもないですっ」


へらりと笑う夕美は明らかに作り笑いであるけれど。


「そぉ」


まぁ、正直今はあんま関わりとうないしな……そっとしとこ。


ちゅーかほんまなんで俺こいつの前でこんな格好晒さなあかんねん。


微妙に調子狂ってまうわぁ……。









「失礼致す! 主人は居るか!」